キツネに深い思い入れがあります。
国内唯一、キツネを身近に感じられる
宮城蔵王キツネ村にも行きました。
あまりの美しさ、神々しさ、もふもふ密度、
キツネを題材にした数多の物語が生まれる理由がわかります。
古来から神聖視され、霊獣として伝えられてきたとても魅力あふれる動物です。
今回紹介するきつねの絵本は
どれも名作中の名作なので私の稚拙な解説は割愛、と思いましたが
語らずにはいられないほど素晴らしいので
すいませんがお付き合いください(書くんかい!のツッコミ待ち)
(ネタバレになりそうな場合はそっと違うページへとお進みください)
つまりは辛抱たまらない・・・
そういう事だね?
自分が影響を受けた作品に、時を超えてねぴーみぴーも
心揺さぶられていた事を本人たちから聞いて
共鳴するようでとてもうれしかったのです。
読み聞かせにもぴったりの素晴らしい作品たちです。
「てぶくろをかいに」
覚えている最初のキツネへの関心は
幼稚園の時に先生が読んでくれた「てぶくろをかいに」
子キツネの冷たい手をあたためるために、
母キツネは我が子の片方の手を人間の手に変えて
危険な人間の街に、子供だけでてぶくろを買いにいきます。
母キツネは以前、怖い思いをしてから行けなくなってしまったからです。
しかし子キツネは間違えて、キツネの手のほうをお店で出してしまいます。
店主はキツネな事に気付いても、てぶくろを渡してくれたのでした。
送り出す母キツネの不安、子キツネのドキドキ、察する店主。
とてもやさしい世界です。
子供を送り出す親の気持ち、行った先でうまく立ち回れるかの心配、
いい人ばかりではない世の中への不信、受け入れられる喜び。
この時期、受験後に巣立つお子さんがいる親御さん、
はじめての幼稚園、ひとりで通学する小学校など
子供が一歩先へ進む段階にあるご家庭に通じるものがあるように感じました。
愛する存在の進む先が、やさしい世界であってほしい願い。
そのためにも、自らもやさしくありたいものです。
おむすびころりんしたら
地下帝国のねずみさんがお宝をくれるんだ
かちかち山はホラーだよ
「ごんぎつね」
小学四年生の教科書に掲載されているようです。
つい先日テレビで人形劇を見て
どうしようもない気持ちになりました。
兵十が、病気の母親に食べさせるためにとったうなぎを
いたずらでとってしまったごん。
後日、葬儀の行列の行き先が兵十の家であることに気付いたごんは
大変なことをしてしまったと気付きます。
ごんは償いの気持ちで
栗などの木の実をこっそりと兵十の家に届けるのでした。
それを兵十は、神様のお恵みだと思っていました。
しかしある日、兵十はごんが家のそばにいる事を発見します。
また悪さをしに来たのかと、兵十は火縄銃でごんを撃ってしまいます。
その後、家に入るとまた木の実が置かれているのでした。
それを見て兵十は絶望します。
「ごん、お前だったのか」
せっせと栗を運ぶごんの姿を思うと、たまらない気持ちになります。
しかし、母親のためにうなぎをとったのに食べさせてあげられずに
ひとりぼっちになってしまう兵十もまた、切ないのです。
ボタンのかけ違いと思うには切なすぎる結末です。
もし、うなぎを返したり、謝ったりしていたら、
未来は変わったのでしょうか。
人間界でも同様に。
謝っていたら、許されていたのでしょうか。
ずっといっしょに、いられたかもしれない未来。
「きつねとぶどう」
おなかをすかせた子供のためにぶどうを取りに行く母キツネ。
木の下で疲れて休んでいると、人間と犬がすぐ近くに来ています。
待たせている子供を守るために、声を出し気を引いて
子供を逃がすことに成功し、子供は生き残ります。
しかし子供は、お母さんが帰ってこないのを何年も待ち続けます。
ある日成長したキツネがかつて暮らしていた場所を通ると
木に絡みついて立派に実ったぶどうを見つけます。
そこで気付くのです。そのぶどうがかつて、
お母さんが自分のためにとりにいったぶどうだと。
子供がお腹をすかせている、という状況ほど
親を駆り立てるものはないと思っています。本能でしょうか。
簡単に手に入る物ではなく、子供を待たせて山を越えて
やっと手に入れる事のできたぶどうです。
子供を庇う気持ちも、わかりすぎて苦しくなります。
命さえ差し出せるのです。笑顔や泣き顔、寝顔が浮かび
自分はどうなってもいいと思うのです。
私もいつか、ぶどうになれるでしょうか。
絵本の素晴らしさ
子供の頃なら、絵本を手に取る機会は多くありましたが
大人になるとそうもいきません。
ですが、作者さんの思いがぎっしりつまった短い一冊は
絵も言葉もエネルギーに満ちていて
時を超えて読み手の心を揺さぶります。
現代ではYOUTUBEで朗読を聞けたり、
ネットで内容を知る事も容易です。
しかし、絵本ファンとして
絵のタッチ、色使い、表現、
作者の愛と情熱が伝わる絵本の数々に魅せられ続けています。
引き続き、心に響く作品をご紹介していきます。
絵本を開くきっかけになれたら光栄です。
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